ロースクールを辞めようと考えている人と進学を考えている人へ。私がロースクールを退学した理由

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今回は私がなぜロースクールを中退したのか、その理由を書いてみたいと思います。まず、私はロースクールをすべて否定すわけではありません。別にロースクールを全て廃止して旧司法試験に戻せとか、予備試験に一本化しろというつもりはありません。

私がロースクールの未修に進学した理由

まず、私がロースクールを退学した理由について述べる前に、なぜ私がロースクールの未修コースに入学することになったかを紹介したいと思います。

もともと、私は某国立大学の法学部に3年次編入して、2年間通っていました。

私自身は、学部に編入した時点で法曹志望でもありました。しかし、3年次編入をするまでは、司法試験法や法科大学院のことには全く無知でしたし、法律の知識もほとんどなかったと言っても良い状況でした。(もちろん大学編入のためには多少の法律の知識はあったものの、それは司法試験法や法科大学院入試に必要な知識に遠く及ばなかった。)

そのまま、3年次に編入をしたものの既に周りの法曹志望の同学年の人たちは、上3法には一定の知識がありました。

また3年生の前期で、私はゼミなどで他のロースクール進学希望組との圧倒的な知識の差を思い知らされました。

それに加えて、ロースクール入試は毎年4年生の秋に行われます。そのためロースクールの既修コースに入るためには、4年生の夏にはおおよそ7法ができるようになる必要がありました。

はじめは、私は大学の授業だけでロースクール入試対策を十分できると思っていました。しかし、大学の授業を7法分すべて取れないことを知り、司法試験の予備校に通うことを決意しました。

予備校を3年生の夏休み、から予備校の基礎講座を受講し始めましたが、やはりなかなか講座が7科目分終わりませんでした。そして、どうやらこのままでは予備校の授業を全て終わらず秋の法科大学院入試に間に合いません。そのことに気づいたのが、4年生の前期途中でした。

正直、ここで就活をしてもおそらく、就活には間に合いません。また、公務員試験も私の事務処理能力を考えれば、おそらくここから対策して間に合いません。(法科大学院の適性試験でかなり苦戦をするレベル。)1時期は、1年留年しての就活や法科大学院入試で既修者入試も考えました。

しかし、当時学部の成績はかなり良く(文字通りの可もなく不可もなくレベル)、これであれば法科大学院の未修者として入学して授業にしっかりとついていけば、法律の基礎を固められると思い(この時点で、予測が甘かったとしか言えない)、法科大学院の未修者進学を決意しました。

私がロースクールを辞めた理由 ①

私がロースクールに入ってから、ロースクールの授業だけではとてもではないですが、法律の基礎知識が付かないことを知りました。今思えばそうなのですが、未修者コースのはじめの1年間で7科目の基礎知識を付けることは不可能に近いです。

授業は進む進度が早いわりに、内容が所々抜かされます(例えば、憲法の私人間適用の論点が10分で終了とか)また授業の順番もめちゃくちゃ(経済的自由をやっていないのに、いきなり森林法判決が重要判例であるとして判例の解説が始まるなど)でとてもじゃないけれども、授業だけでやっていても、司法試験の合格に必要な基礎知識は付きそうにありません。

また、法科大学院の教授ははっきりとロースクールの授業だけ頑張っても、司法試験には受からないと明言します(これも当然といえば当然ですが)。

そもそも、ロースクールの予習がはじめから多く、ミニテストも多いです。この状況で、ロースクールの授業の予習復習だけでなく、授業以外の勉強もしろと言われれば、私からすればはっきり言って何のためのロースクールなのか分からなくなりました。

私は、もともと授業だけであれば学部時代からの経験からして、難無く単位は取れると思いました。しかし、無事卒業できても司法試験に合格できなければ、ロースクール卒業なんてはっきりと言って無意味です。しかも予習復習は量が多く、授業も楽ではありません。そして、この生活を3年間耐えてもらえるのは司法試験の受験資格のみ。

さらに、仮に受験資格を得ても失権してしまえば、30歳越で職歴なしです。まともにその後就職できるわけがありません。そうであれば、当時は大学時代から塾の講師をしていましたので、塾の講師をしながら予備試験ルートで司法試験を目指していけば、少なくとも職歴なしというリスクはなくなります。

しかも、塾の講師をしていれば、途中で司法試験をあきらめるにしても、大手予備校の講師に転職できれば、そこそこの収入が手に入ります。(私の仕事をしていた塾では同僚で、大手の塾講師になった人も現にいました。)

このロースクールの辛い勉強をしても、合格率は低く(既修でも私の時は、1年目での合格率は、3分の1程度)、失権のリスクが高かったことが、1つの退学の要因でした。

私がロースクールを辞めた理由 ②

もうロースクールの退学のもう一つの理由は、金銭的な面にあります。

なにせ、法科大学院の授業料はとてつもなく高いです。国公立大学の法科大学院であっても、入学金に30万円に加え年間80万円と通常の大学の法学部の倍の授業料がします。

しかも書籍代もかなりの額です(今では、国立大学の法科大学院の中には、もう少し授業料の安い学校もありましたが、私の時代にはなかったです)。

また、司法試験のためには、これに答練や模試の受講料に司法試験の受験料など、合計しておよそ40万円ぐらいがかかります。それも予備試験の場合と異なり、多くの場合は奨学生制度はなく、純粋にこの額かける司法試験のチャレンジ回数となります。

仮に3年間ロースクールに通い無事に卒業できても、司法試験になかなか合格できずに受け続ければ、入学金30万円80万円×3の授業料と40万円×3の予備校大が最低限必要となりその結果合計、およそ400万円がかります。(仮に1回で合格しても300万円以上もします。)しかもこれに書籍代がかかり、事実上法科大学院生のうちは授業の忙しかさから、バイトもできません。(私の通っていた法科大学院では、法科大学院生は修行僧のように勉強しろと言われていました)

言い過ぎかもしれませんが、ここまで多額の費用を費やして司法試験に合格できなければ、本当に私からすれば人生を棒に振ったも同然です。しかも両親は決して若くなく、(というか周囲の親と比べても高齢)授業料や1年分の予備校費用は何とか出せても、それ以上の額を私にとっては、無職のままでは、とても出せるものではありません。

それに比べて、予備試験ルートであれば、初めに本科生として予備校の費用が100万円かかるとしても(ただ私の場合は学部生時代に既に支出)、予備校の奨学生制度などを使えば、それ以外の答練の費用は年10万円から15万円程に抑えられます。

またその間、私は塾講師として仕事をしているため何とか金銭的にはやって行けます。

私がロースクールを辞めた理由 ③

さらに周りの環境もロースクールを辞めた理由の1つでした。

未修者コースは、近隣の私学の大学出身者も多く、その一方で同じ未修者コースの同期はわずか10数人ほどでした。そして、未修者コースの大多数が飲み会や遊ぶのが好きでした。

1か月の間でも3,4回の飲み会が行われ、週末もみんなで遊びに行くことも多かったです。

正直、クラスの雰囲気は、合格率が低いことの危機感はゼロに近く、予備校軽視も強かったです。

毎回、飲み会の前に自習ゼミでもやってくれれば、私も参加したのですがそういう気はなかったようです。

今の私であれば、上手く同じ未修者のクラスメートと人間関係を作れたと思いますが、その当時の私にそこまでの能力はありませんでした。

当時仮に、もう少し真剣に司法試験合格を目指す仲間がクラスメートにいれば、だいぶ状況は変わったかもしれません(私がそう思えなかったことにも問題はありますが)。

最後の決めて

私にとって最後の決め手は、そのまま法科大学院に残り、司法試験を目指すことと、法科大学院を退学して予備試験ルートを取ることのどちらが、自身の成長に繋がり、自分の人生にとってリスクが少ないかを考えた時に、予備試験ルートを取る方が、成長に繋がり、リスクが小さいと考えたからです。

たしかに、予備試験ルートを取ることは、いつ受かるとも分からない試験を受けることになり、とても大変なことでした。黙って法科大学院に通い続ければ、司法試験の受験資格だけは得られます。

しかし、予備試験に受かるという体験をすれば、自身の成長に必ずなります。また、私は大きな自信を得ることができます。さらに予備試験に受かりさえすれば、予備試験ルートの圧倒的な合格率から司法試験に受かる可能性は極めて高く、それなりのステータスになります。

そうであれば、無職、失権のリスクを回避して、予備試験ルートを取ることこそが、私の人生での成長になると当時は考え、ロースクールを退学しました。

まとめ

予備試験ルートで司法試験に合格した今になれば、ロースクールを中退したことを後悔していないかと言われれば、当時もう精神的に大人であれば、私はロースクールに残ったかもしれない、そうすれば後1年や2年早く司法試験に合格したかもしれないと思う後悔が少しはあります。

しかし、私は予備試験の勉強を通して本当に精神的に成長しました。仮に予備試験に合格せずに、司法試験の受験資格すら得られていなくても、その成長だけはできたと思います。そういう意味でも、私はロースクールを中退して今の道を選んで良かったと思います。

そして、予備試験に合格して司法試験に合格するという絶景を味わえたことは、まさに至福と言えます。しかし、ここまで来る途中に何回も予備試験を諦め、ロースクールに戻ろうか、司法試験自体をあきらめようかと考えたことは、数え切れない程です。

(実際数回ロースクールを受験もしました)

それを考えた時、決してロースクールを中退したり、ロースクールに進学できるにも関わらず、大学を卒業して予備試験の受験ルートを取ることを私は推奨はしません。

(特に今は在学中の司法試験受験も可能となる制度変更がありました。それを考えると、学部を卒業して金銭的にロースクールに行けるのであれば、ロースクールに行き、出来るだけ早く司法試験の受験資格を得るべきだと思います。)

ロースクールへの進学を迷っている人や、ロースクールの中退を考えている人にとって、私の経験が少しでも役に立てばと思います。

最後までブログを読んでいただきありがとうございます。

Yoshiー(ヨッシー)

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