みなさんこんにちは、 YOSHI (ヨッシー)です。
今日は最近、論証パターンを覚えることは必要かについて質問箱で、質問をいただいたので論証パターンについて私の思うことを書いていこうと思います。
論証パターンとは
まず、司法試験の受験業界には論証パターンというものが存在します。
主に、司法試験・予備試験の予備校が出している判例などの規範を導きだすための論理構成を文章化してパターン化したものです。
試験においては受験生がその論理構成の文章を暗記しそのまま答案用紙に書きだすというようにして使われます。
司法試験や予備試験の受験者の中では、合格のために論証パターンを覚えるべきか、覚えるとしてどこまで覚えるのかということが、よく問題となります。
論証パターンを暗記することは、司法試験合格に必須といえるか
ここからは、私の論証パターンについての私見を述べていきたいと思います。
まず、論証パターンを覚えることが、司法試験や予備試験の合格に必須かと言われれば、論証集にある論証パターンをすべて暗記することまでは必要ないと私は思います。
もっとも、重要論点(行政法の国家賠償や原告適格、刑法の因果関係や刑事訴訟法の伝聞証拠、強制処分の意義など)でしかも頻出のものについては、やはり予備試験や司法試験の合格にそれらの論証パターンの暗記は必要だと思います。
なぜなら、それらの論証は司法試験や予備試験の少なくと合格ラインに乗ってくる受験生であれば誰でも書けます。また、司法試験や予備試験の論文試験はとにかく時間が足りません。
そのため、そのような誰でも合格ライン付近の受験生であれば書けるような論点について、試験中にその場でいちいち考えながら論証を書いていたのでは、時間が足りません。もちろん、論証にも点数が振られていますが、その後のあてはめの方にかなりの点数が振られています。
合格者であれば誰でも書ける論証を書くのに時間がかかり、あてはめに時間が書けれないとなると点数を稼ぐのは厳しくなります。
よって、上記のような頻出かつ重要論点については、論証パターンの暗記は合格に必須になってきます。
他方で、上記以外についての論証パターンの暗記は、暗記できていれば試験本番では楽になることはあると思いますが、合格に必ず必要かと言われればそうではないと思います。
そもそも、論証パターンの暗記はかなり重労働です。よほど暗記力のある人なら別かもしれませんが、司法試験や予備試験の試験科目は選択科目まで入れれば8科目になります。
そのため到底、すべての科目につき論証集の論証パターンを覚えることは現実的ではありません。また時間をかけてもかけてもすべて覚えれることはほぼ不可能です。(実際のところ私が司法試験や予備試験に合格した時には、予備校の論証集の論証パターンの全体の3割も覚えられていなかったと思います)
それゆえ、上記で述べた必須の論証パターン以外の論証パターンについては、覚えれるものを少しでもいいので覚えれば良いと私は思います。
どこまでの論証を覚えるかは、正直なところ個々の暗記のキャパシティーと可処分時間によると思います。
論証パターンを覚えれることと合格の関係
司法試験や予備試験の受験生の中には、論証パターンの暗記=司法試験や予備試験の合格と考えている人も多々います。
しかし、仮に世の中にある論証パターンの暗記をしたとしても、必ずしも司法試験や予備試験には合格しません。 ←本当にこれは重要
なぜなら、論証パターンを試験本番で書き出すということは、あくまでも試験の問題の入り口を通過するに過ぎないからです。
ここでまず、具体的な論文の解答方法について紹介したいと思います。
司法試験や予備試験の論文問題では、➀問題文を読み問題文を理解することにより、該当条文とそれに付随する論点及び、判例をまず抽出します。②次にその規範を導く論述を答案用紙にします(条文の単なるあてはめだけであれば、条文の文言への端的なあてはめ)。③そしてその後に、問題文の事実を評価した上で規範にあてはめます。
基本的には上記の➀から③までの解答プロセスを経ます。
しかし、論証パターンを使うのは上記で言うところの②の部分です。それ以降の➂のあてはめは論証パターンをいくら暗記していてもできません。そして主に点数が振られているのは➂の部分です。
さらに規範の内容やあてはめのポイントを知らなければ、適切な事実の評価及びあてはめを行うことは出来ません。そして、そのあてはめのポイントを知るためには、規範を導き出すための理由や論理が分からなければなりません。
仮に、論証まではしっかりと答案上で書けていたとしても、あてはめでまったく不適切な事情を使っていたり、不適切な評価をしていれば、採点者は答案を書いた受験生が論証を単に暗記していると思われます。
予備試験や司法試験の論文試験では、採点者は受験生が単に論証パターンを暗記しているということを特に嫌う傾向にあります。
なぜなら、司法試験や予備試験は実務家登用試験です。実際の法律事件は暗記ではなく現場思考が求められます。これはこのブログでは何回か言及していますが司法試験や予備試験の論文試験は、あくまでも受験者の法律知識の理解を示す場です。決して暗記力を示す場ではありません。
そうであれば、論証パターンを書き出してもその後のあてはめや事実の評価を間違えれば、採点者に法律知識への理解が怪しいことが疑われ、採点についての心証が悪化します。そうなれば、当然点数は伸びません。
また、新司法試験になってから、司法試験、予備試験問わず現場思考型の問題が出題されます。
この場合には、論証パターンを単純に暗記して書き出しただけでは、到底問題に対応できません。
論証パターンがヒントになることはあっても、暗記の書き出しでは不十分です。
これらのことから、私が言いたいことは、論証パターンを覚えたからといってそれだけで合格することはできないということです。
まとめ
まとめると、論証パターンの暗記をすることは司法試験や予備試験の合格において必要です。
しかし、暗記すべき論証パターンはあくまでも、頻出論点についてであり、すべて暗記する必要はありません。また論証パターンの暗記=司法試験や予備試験の合格というわけでもありません。
多くの論証パターンを暗記しても良いですが、論証パターンの内容を理解してしっかりとしてあてはめをしなければ、合格は厳しくなります。
また私の実感としては、マイナーな論点については、ある程度の論証ぽいものが書ければ、論証パターンの記載通りに書かなくとも合格ラインまで達することができます。
論証パターンの暗記の際には、単純暗記でとどめるのではなくあてはめを正しくするためにも、論証の論理や内容をしっかりと理解するようにしてください。
本日は最後まで私の記事を読んでいただきたいありがとうございました。
YOSHI-(ヨッシー)
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