予備試験・論文試験で実務基礎科目に力を入れるべき理由とその対策

予備試験

みなさんこんにちは、元塾講師で2020年予備試験合格者のYOSHIーです。今日は司法試験の予備試験・論文試験で実務基礎科目に力を入れるべき理由と、その対策を紹介したいと思います。

法律実務基礎科目に力を入れるべき理由①

まず、法律実務基礎科目に力を入れるべき理由の1つ目は、配点が高くコスパが良い点です。

法律実務基礎科目は、民事と刑事の2科目からなり、それぞれで50点づつの計100点です。(他の法律科目は各50点)

民事は、要件事実訴訟手続きが中心です。他方で、刑事については事実認定訴訟手続きが中心です。

民事については、要件事実はまずは、新問題研究の要件事実と訴訟物、請求の趣旨、証拠収集を覚えれば、対策として十分です。

後は、民事執行法と保全法の基本部分(差押えの要件や手続き、仮処分の種類と要件で十分)だけです。

また刑事は、事実認定と逮捕・勾留などの身体拘束が中心で、後は公判前整理手続きと伝聞証拠が聞かれます。

基本的には、法律実務科目は、手続きでは条文知識が多くきかれ、民事の要件事実も暗記物です。あまり論点らしい論点はありません(おそらく民事・刑事で合わせて10個ほどです)。そのため覚えてしまえば多いものが多いです。また事実認定はある程度パターン化されているので、過去問や予備校の答練をある程度の量を解けば、解けるようになります。

さらに、民事と刑事ではどちらかで、法曹倫理が聞かれます。しかしこれもある程度パターン化されていることから、過去問や条文知識である程度対応できます。また出題されない年もあります。

また基本的に論文試験は、相対的評価です。正直要件事実や事実認定に関しては、しっかりと対策をしていない受験生も多いため周りのレベルはそれほど高くありません。実際私も、訴訟物の理解ができていない時でもB評価が来ました。また2020年の予備試験合格時は、法律実務基礎科目の刑事の問題で、わからないところや間違ったところが何か所かありましが、A評価が来ました。

そのため、A評価やB評価のラインは他の法律科目と比べて低いと言え、知識問題も多いことから、コスパが良い科目と言えます。

法律実務基礎科目に力を入れるべき理由②

次の理由として挙げられるのが、論文試験の後の口述試験でも、法律実務基礎科目が重要になるということです。

論文試験の後に行われる口述試験では、民事と刑事の二つの試験が行われます。そして特に民事では、要件事実がメインに聞かれます。正直なところを言えば、基本的な訴訟物や要件事実が言えなければ、合格はかなり危うくなります。

また、刑事でも口述試験では、法律実務基礎科目でも聞かれる刑事訴訟手続きが聞かれます。

そのため、法律実務基礎科目を勉強することは、直接口述試験の対策になります。また予備試験では、論文試験から口述試験まではわずか、2週間ほどしかないため、ある程度法律実務基礎科目を論文試験対策として固めておければ、少しでも余裕ができると思います。

具体的な法律実務基礎科目の対策

ここからは、私が予備試験受験生の時に行った法律実務基礎科目の対策方法について、少し紹介します。少しでも参考になれば幸いです。

  • 法律実務基礎科目 民事の対策

まず法律基礎科目の民事については、あまり要件事実が理解できていない人は、新問題研究(司法研修所)で紹介されている訴訟物と請求の趣旨と要件事実を理解し覚えるようにしてください。これである程度の対策になります。要件事実については、余裕があれば、完全講義 民事裁判実務の基礎〔第3版〕(上巻) いわゆる大島本で、債権譲渡代理などを理解するようにするのが良いと思います。

民事の手続き面につては、まず書証の理解をする必要があります(二段の推定や文書提出命令、報告文書と処分証書の違いなど)。また、民事保全や民事執行については、基本的な理解で足ります。特に民事保全については、仮差押え、処分禁止の仮処分、占有移転の仮処分、仮地位仮処分の違いとその要件、効果まで押さえておけば十分です。

後は、過去問で事実認定の勉強をすればよいと思います。

  • 法律実務基礎科目 刑事の対策

法律実務基礎科目の刑事の対策は、まずは事実認定が重要になります。各予備校のテキストを使っていない人か、それが合わない人であれば、刑事実務基礎の定石 を使うといいと思います。基本的には予備校のテキストや刑事実務基礎の定石 を読んで事実認定の雰囲気を知れば、後は過去問や答練の演習で、事実認定の方法に慣れるだけです。

知識面では、公判前整理手続き、身体拘束、被害者参加制度などを押さえていってください。後予備試験では、司法試験の本試験と異なり、伝聞証拠が刑事訴訟法ではなく法律実務基礎科目で出題される傾向があるので、注意してください。

また法曹も含めて、各条文を引けるようにすることが重要です。とくに刑事では、刑事訴訟法規則も問われます(とりわけ199条前後)

さらに刑事訴訟法の条文については、民法や会社法と異なり、予備試験六法では条文しか記載されておらず、慣れるまでには条文を引くのに時間がかかります。

まとめ

私が、ネット上での予備試験の論文試験合格者の結果を見ていると、その多くが法律実務基礎科目でA評価を得ています。またコストパフォーマンスが高いゆえに、法律実務基礎科目で高評価を取ることは、論文合格に大きく近づくことになります。

そのため、予備試験の論文対策では、他の法律科目の対策がなおざりになってしまってはいけませんが、法律実務基礎科目にある程度力を入れるべきだと思います。

予備試験受験生の皆さんにとって、少しでも役に立てば幸いです。

最後までブログを読んでいただきありがとうございます。

Yoshiー

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